19歳の時に、「50歳までの自分の未来」を決めた
橘川:あの本は、まさにシンギュラリティの話だったんですよね。
福田:そうですね。今の言葉で言うとね。
橘川:今「ことづくり」なんてよく言われているけど、僕はあの時にすでに書いていましたね。「ものづくりから、ことづくりへ」っていう。基本的に僕は、学生の時から言ってることってほとんど変わってないんですよ。
福田:つまり、最初から完成されていた?
橘川:完成されていたというよりも、もう決めていたんです。19歳の時に、自分の未来と社会の未来を決めてしまった。
福田:それは、どのように決められたんですか。
橘川:人類の原理って、未来も過去も同じなんです。ひと言で言うと、その原理は「起承転結」なんですよ。人間の一生も起承転結じゃないですか。そして戦後社会も近代も、起承転結なんですね。そういう流れというものはもう決まっていると思ったので、「50歳になったら、もう仕事は辞めよう」と、19歳で決めたんですね。
福田:50歳というのは、起承転結で言うところのどこですか? 結ですか?
橘川:起=10代、承=20代、転=30代、結=40代という、4段階なんですよね。10代で立ち上がって、20代で反省して内省して、30代でもう一回立ち上がって、40代で結論を出す。つまり、10代の「起」と30代の「転」は同じなんです。30代っていうのは、2度目の10代なんですよね。
福田:それは、全く意識していませんでした。でも、30代が2度目の10代と言われれば、そうかもしれませんね。
橘川:20代ってのは、10代のことを反省して内省化する時代。恥ずかしかったりしてちょっと辛いんだけれども、実はすごく大事な時代で。エネルギー量で行動していた10代のことを理論化してく時代ですね。で、30代でその理論化が終わって、もう一回立ち上がる。そして40代でもう一度、それを整理する。僕は1950年生まれなので、60年代が10代で、70年代が20代だった。さらに、20世紀から21世紀になる時に50代になるので、これで終わると思っていたわけですよ。だから50歳になるまでは、自分の考えやコンセプトを世の中に押し売りしていこうと。