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ギターも弾けないし、歌も下手。だから、言葉で「ロックをやろう」と思った

ビジネスはロック。だから「バンドやろうぜ!」 Talked.jp

福田:橘川さんが大学生の頃、渋谷陽一さんと始められた音楽投稿雑誌が『ロッキング・オン』でした。

橘川:22歳の時に『ロッキング・オン』の編集をやりながら、宝島社のサラリーマンになって、その後に全面投稿雑誌『ポンプ』を創刊しました。『ポンプ』を出したのは、28歳の時ですね。

福田:『ロッキング・オン』と並行して、宝島に就職されていたというのは初めて知りました。でも、なぜですか。『ロッキング・オン』はどんどん大きくなっていったわけですし、そのままそっちを続ければよかったのでは。

橘川:『ロッキング・オン』はロックの雑誌だったんですが、ロックをテーマにしたのではなくて、「ロックをやろう」と思ったんですよ。ロックはそれまでのジャズやクラシックとは違って、作品じゃないんです。ジャズとかクラシックっていうのは、天才的なアーティストが鍛えられた技術をパフォーマンスして、客が感動して拍手する。つまり、芸術ですよね。ところがロックっていうのは、みんな下手。そして、下手でもいいわけ。

福田:ロックって、昔からそういう概念だったんですか。

橘川:下手なやつがみんなの力で成長していくんですよ。そのプロセスが素晴らしいわけですね。

福田:つまり、ロックは「コミュニティー型」だった。

橘川:そう。そこに上っていくヤツは、昨日までは隣で騒いでた観客なんです。だから他人じゃない。ビートルズの時も、「隣にいた兄貴」みたいな感じなわけですよ。

福田:だからロックは、中央集権的じゃないんですね。

橘川:エルヴィス・プレスリーの時代はスターしかいなくて、とてもかなわない、向こう側の人だった。それがスターじゃなくても、手が届くところにいるヤツが現れて、そこが新しかったんです。でも僕らはギターも弾けないし歌も下手だから、違う形でロックをやろうというのが、「言葉のロック」として生まれた『ロッキング・オン』だった。つまり、ロックを言葉で表現するという、「ロックフェス的な雑誌」をやろうと思って始めたわけですね。だから今のCGM(消費者生成メディア)を考えると、渋谷(陽一)とも話したけど、「俺たちは早かったよなあ」とか言って(笑)。

福田:めちゃくちゃ早いですよ(笑)。

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