「空間的に」生きると迷いがない
福田:坂野さんは明るい方だし、楽しく話してくださるわけですけども、苦しいことだってもちろんあるとは思います。僕もいっぱいありますよ、苦しいこと。でも、「忘れる力」もハンパないですね、年々。うれしいことも楽しいことも失敗したことも、同じ勢いで忘れてるから。「今を生きる」というか。
坂野:僕は、それこそ建築じゃないですか。で、「時間」と「場所」っていう、人間にとって一番やっかいな二つを乗り越えることが科学の大命題!みたいな感じに人間はなっていますけども、そこに対して「ドーン!」と行きたい感じがあるわけですよ。
福田さんは、海外も日本もいろんな場所に行かれていますけども、人間の「絶対にこれは変わらない」っていう部分は、時間と場所を、自分で選べるということなんですよ。いろんなことに囚われちゃうから出来ないけども、「明日にしようか、明後日にしようか」っていうのは選べるし。それってじつは、めちゃくちゃすごいことなんですよ。
福田:時間軸の概念を言葉にできたことが、人間と動物の圧倒的な違いかもしれませんね。
ライフシフトの話でも何でも、「一応人間は限界があるだろうから、その間に楽しもう」というのはわかるんですけど、大事なとこはそこじゃないんですよね。「今この瞬間」のニューヨークも想像できるし、ケニアのことも想像できるし、そういう全人間的に生きることの方が「ライフシフトに備えよう」っていう発想よりも僕は楽しいし、皆におすすめしたいことですよね。
坂野:おすすめですよね。超おすすめです。