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組織に属していても、人の身体感覚は失われない

人生の秘訣!いまをどう生きるか?以上。  Talked.jp

坂野:家を一つ作るのも、いわゆるフォーマットありきの便利さも分かるんですけど、やっぱりそれでは面白くなくて。「生きてるんだから、フォーマットしかやらないなんて、もったいないでしょ」みたいな。

福田:フォーマットに頼らないで、1回1回作ろうと。

坂野:でも、いわゆる社会のシステムの中で、フォーマットありきで生きている人がうちみたいなところに来ると、皆途方に暮れるんですよ。ゼロから作るってことに対して、途方にくれるんですよね。

福田:きっと、ゼロからやることって、単に面倒くさいっていうのもあるんでしょうね。でも、その面倒くささを越えるのは、なかなか難しい。やっぱり世の中の会社の仕組みって単年主義で、基本的にコスト管理なんですよね。だからオーナー企業って素晴らしいんです。何年かけてやってもいいわけですよ。ずっとオーナーだから。でも企業の雇われ社長の場合は期限を区切られちゃうから、「1年で成果上げなきゃ」とか、「ボーナス決めなきゃっ」ってなる。そもそもビジネスを1年で区切ることに、無理があるんだと思うんですよね。

坂野:そうですよね。ありますよね。

福田:だから、コストが先に来ちゃうから、フォーマットに頼るのが楽って思うんです。ゼロからだと、「この人、地獄の黙示録作る気だよ」って思っちゃうから(笑) これからメコン川渡るのかよってなると、やりたいけど踏みだせないでしょうね。
ブランディングとマーケティングの違いをよく話すんですけど、普通マーケティング観点で考えると、「これを整えて売りましょう」ってなる。知ってもらって売ろうみたいなね。でも、ブランディングっていうのはちょっと違って、まず愛してもらおうという視点なんですよ。

坂野:ほんとに福田さんおっしゃってることそのまんまで、やっぱり人と人が愛し合うこと、そういうのってとっても不思議な世界じゃないですか。でも、やっぱりそこがいいんですよね。

福田:いいんですよね。僕が今やっているブランディングって、そこにある状態を受け入れてくれと。どうぞ受け入れてくださいっていうことなんですよ。凡庸に言うと、「愛はお金で買えないでしょ」と。だから、費用対効果とか、そういうのはやめてしまえっていう話なんですよ。でも、僕もやっぱり長く組織にいましたから、ずっといたら分からなくなっちゃうサラリーマン事情もわからなくはないんですけどね。

坂野:組織の中にいると、たぶんそういう空気に包まれるじゃないですか。でも実は、個人そのものからは直感や身体感覚って失われていないんじゃないでしょうか。組織の中でいつのまにか皆、蓋をしているけども、蓋が剥がれて個人、人間になった時に、もちろん組織の中で生きてきたクセみたいなものは残っているけど、そこに聴診器をぴっと当てたときにはちゃんとあるっていうか。僕はそこは、ものすごい楽観的に信じていますね。

福田:それはすごいことですね。

坂野:どんなことになっても、やっぱり人間って「生きていく!!!」って思ってるから、僕のニューヨーク→網走の話じゃないですけど、人間のそういう愛情とか感性って、そんなことではなくならない。だから、全く悲観していないんですよ。個人的な経験談として言うんじゃなくて、それこそ地球が丸いぐらいの当たり前の話で僕はほんとにそう思ってるから。今も同じようにやっているんですよね。

福田:うん。だから受け入れられるんですよね。僕も前職を卒業して、またもう1回始めたわけですよ。1年前の今頃はまだ秘書と2人で、スタバで集まって、2人でパソコンをパチパチやってたんですよ(笑) でも契約書とか格納する場所いるし、やっぱりオフィスがいるねってなったら、そこからまた社員がどんどん増えて。だから、その繰り返しなんですよね。セミのように繰り返し。だからセミより長く生きないと(笑)

坂野:脱いで着て、脱いで着て、ですね。福田さんって、いつも優しげですけど、いつも強烈に戦ってる感じがします。やっぱり「戦う人」って感じなんですよ。

福田:頑張ります。今日は長々と、お時間ありがとうございました。ほんと、すごい面白かったです。

坂野:いえいえ、とんでもないです。なかなか言語化の難しい僕の話をたくさん聞いていただいて(笑)ありがとうございました。

福田:またぜひ、お話しましょう。

(了)

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