突破口になるのは、熱量と斬新さ
福田:さっき、話に出た砂川さんからご紹介された楠 太吾さんは、音楽好きが昂じて「SOUNDRAW(サウンドロー)株式会社」を起業されました。これはAIが無限にビートを自動生成して最適な音楽をつくってくれるというプログラムサービスなんです。
その楠さんが教えてくれたのが、米国のスタートアップ起業「BeatStars」という、ビートをクラウドで販売するサービスで。そこの音源を活用して、普通に音楽グループのアリーナがヒットを出しています。「自分の歌以外の音は、全部クラウドで買っているんですよ」って。ピッチとかで組み合わせたものに自分が歌詞を乗せてトップテンになるということは、もう音楽業界の構造改革じゃないですか。「そんなふうにしたいんですよ」って言われた時に、ぜひ一緒にやろうってなったんです。好きという熱情が、起業の発火点になる感じでした。
家入:今はSpotify*5)でも、どういう曲が売れるかを全部分析できるから。売れる曲を自動的に分析して作れちゃうソフトもありますよね。
福田:だからわざわざパワポの資料を出してきて、「やっとお会いできました! このプランに出資してください!」っていうよりも、「こんな面白い話があるんです」「やりたいんです」っていう、冒頭の家入さんの「タバコ吸いながら大きな話が決まる」っていうのと同じで、そういうふうに世の中が進んでいくのがいいなと僕は思っています。だから、自分が会いたい人には、その人に会いたいと思わせるようなことをしなきゃダメなんでしょうね。
家入:そうですね。
福田:たとえば僕が二十歳ぐらいで家入さんに会おうと思ったら、どうするだろうな。昔、面接で「君はこの会社で何がやりたいんだ」と聞かれた時に、「あなたの席(社長)に座りたい」とか大ボラ言って入社できた人っていましたよね。でも今は、ああいう根拠のない社会デビューだと、これからの時代は厳しいかもしれませんね。
*5)スウェーデンの企業スポティファイ・テクノロジー運営による音楽ストリーミングサービス。