福田流・投資先管理術
福田:僕、今でもさっきの故・植村伴次郎さん(東北新社創業者)から学んだ「投資先の管理術」っていうのを 真似してやっています。帳簿とか、何も見ないんですよ。それは、経理担当でも部下でもなく、社長本人に銀行通帳のコピーをFAXで自宅に送ってもらう。これ、イタリアマフィアみたいな感じなんですよ(笑)
家入:毎月ですか。
福田:毎月です。必ず。書類で来る月次とか、キャッシュフローと通帳の差が運転資金みたいに見えるじゃないですか。
家入:お金の流れを見られているっていう感覚が、普段の自分の行動を律するっていうのはありそうですね。
僕、過去にいくつか飲食店を経営していた時、じつは持ち逃げされたことがありました。最後、「なんでこんなことしたの?」って聞いたら、「寂しかったんです」って言われて。僕、経営を完全に任せていたんですよ。それで何もチェックしていなかった。逆にそれが良くなかったみたいで、「すごく寂しかった」と。月に1回とかでもいいから、お茶でもランチでもしながらの報告会でも良かったのかもしれないし。僕も「ちゃんと見ているよ」っていうのがなかったから、彼は寂しくて、全部使っちゃいましたっていう。それを言われて、「しょうがないか」って。でも結構な金額だったんですけどね。
福田:しょうがないかっていうのも、すごいですけども……。
家入:最初はやっぱり腹は立ちました。でも任せるっていうのは、責任を取るっていうことでもあると思うんで。…でも確かに、福田さんのように通帳コピーを必ず送ってもらうのはいいかもしれないですね。
福田:メールとか写メとかは簡単じゃないですか。でもコピーをとったものを、自らFAXで送るっていうのがね。で、送ったら電話して、と。あとFAXってフィジカルなものじゃないですか。今時、ガガガガって紙で出てきて。コピーとFAXって部下にやらせるようなことかもしれませんけど、自分でやってねと伝えています。どの会社も全部そうやっていて、これまでも不正らしい不正ってないですね。
家入:それはすごい。
福田:そんなことさせたら「信用されていない」って見られないかなと思ったんですけどね。意外とそんなことない。「分かりました」って、みんな明るい感じです。その方が双方にとってクリアな関係ができるような気がします。
家入:あと、やることが決まっているから、やらないと怒られる。お互いの「これはやろう」っていう約束事って、すごい大事ですよね。