福島 香織 氏
ジャーナリスト。大阪大学文学部卒業後、産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。
福田 淳 氏
実業家。ソニー・デジタル エンタテインメント 社長。
1965年生まれ、日本大学芸術学部卒。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントでアニメチャンネル「アニマックス」など多数のニューメディア立ち上げに関わる。
構成:福田千津子 撮影:越間有紀子
2014年10月21日(火)
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千里を走る中国取材の道!
世界3大メディアも中国では大苦戦
福田:さて、インターネット事情についても伺いたいのですが、Twitterの中国版「新浪微博(Sina Weibo)」ってあるじゃないですか。中国って、何でも欧米とかで流行っているものを輸入禁止にして、中国だけでパクリサイトにしますよね。それはやはり、共産党幹部の親族とか直系とか、そういう利権のせいなんでしょうか?
福島:インターネットは利権があると思います。新浪(シンラン-中国のネット企業)の元CEOが胡錦濤さんの娘さんの旦那であるとか・・。そういう政治家との血縁関係が持ち込むのが比較的、少なかったアリババの創業者ジャック・マー(中国の実業家)ですよね。あの人はもともとは好き勝手にやっていたんだけれども、そのせいで、圧力もかけられたりしたんで、一時は毎日のように中南海(中国共産党中枢のある場所)に詣でていたとも聞きました。だから、やっぱり、どこかの派閥に属するとか、権力にすり寄るとかしないと、なかなかやっていくのが難しい世界みたいですよね。
福田:中国のみならず、世界中のメディアは、政治っていうか、政権と結びついてないと成り立たないですもんね。ただ、やっぱり中国は結びつきがあからさま・・。
福島:あからさまもあるし、あと、例えば、「情報提供しろ」とか言ってくるじゃないですか。LINEでも、今、問題になっていますよね。韓国政府に、全部情報を出しているとか、出してないとか。本当はこっそりやるべきですよね。でも、中国の場合は、やることが当然と義務化されているから、当たり前のようにやって問題になるわけです。みんな隠れてやっていることを、「中国では、そうしなければその業界ではやっていけません」って、外国の企業なんかも差別しているわけですよね。だから、Googleにしても、Yahoo!にしても、中国で仕事していきたいなら、その条件を飲まなきゃいけないわけです。それはつまり、情報提供したことを認めるようなものですから、評判落としちゃう。Googleが無理難題を言われ続け、最終的には撤退してしまったように、実際に入ってみると、中国企業のほうが圧倒的に有利というか、勝てないようにできているんです。Googleは絶対にBaiduには勝てない。ロビン・リー(BaiduのCEO)は、中国政府との関係をしっかり作っているわけですから。そもそも、ネットの世界って、どちらかと言ったら、アナーキーな世界から始まった、と思うんですよね。ところが、中国の場合、あくまでもネットは情報収集と世論コントロールの手段なんです。要するに、共産党の報道統制とか世論誘導とか、そういうものの中にきっちりはめこまれてるんで、やっぱりその辺りが、外国とは違うんじゃないですかね。
福田:確かに、中国ではFacebook見られないじゃないですか。(人人網/レンレンワン)
注:人人網は、中国で運営されているFB式のSNS。FBは中国語で臉譜
福島:そうですね。
福田:Twitterも見れないじゃないですか。(微博/ウェイボー)
注:微博は中国で運営されているツイッター式のSNS。ツイッターは中国語で推特
福島:はい。
福田:Google駄目じゃないですか。(百度/バイドゥ)
福島:はい。
福田:世界的な三大ネットメディアが使えないんですよね。 最近は、LINEも駄目ですね。だから中国だとWeChat(ウィチャット/テンセント社)が主流ですよね。
福島:はい、みんな、ウェイボー(微博)とか、ウイチャット(微信)とかになってますよね。