福田:実はウイチャットに、うち(ソニー・デジタル)のコンテンツを提供しているんですよ。外国企業では、大手はディズニーとソニー・デジタルだけなんですよ。交渉に2年ぐらいかかりましたね。大変でしたよ。通訳の人も、中国サイドと通じてるんじゃないかって疑心暗鬼になりましたよ。(笑)
福島:それは、そのとおりなんで。でも、ディズニーとソニーってところがすごいですね。やっぱり、中国側も選んでいる感じがしますよね。
恐るべき中国の情報収集力
福島:私ね、驚いたのは、例えば、原発事故が起きたときに、中国側の企業は原発関連企業のトップのスケジュールをあっという間に押さえるわけですよ。アポなんか入れても、会ってもらえないってわかっていてそんなことするのは、日本で原発企業が存続できなくなったときに、その会社ごと、技術ごと中国に来てほしいって魂胆があるわけですね。
福田:スケジュールを押さえるっていうのは調べるってこと?
福島:そうです。そのトップとか、CEOクラスが、北京にしょっちゅう来ているわけです。その人たちが、どのホテルに泊まるか判明すると、大企業の社長自らがそこのロビーで待っている、と。
福田:アポなしで?
福島:はい。その部長とか下っ端に来られたら、会わないってこともできるけども、自分自身がトップで向こうもトップで、ロビーで待たれて「やあやあ」って挨拶されたら、これはもう会わざるを得ない。「ホテルとかどこで調べるんでしょうね」って聞くと、例えば、航空会社の代理店とか、在北京企業の日本人トップとかに直接、電話してくる。「自分のとこにも探りの電話がきたことあるよ。何時何分の何に乗っているか、とか。もちろん、電話がかかってきても、教えないけどね」と苦笑してました。どこに宿泊しているとか、何時チェックインとか、いろんな人脈を使って情報をかき集めて、ちゃんとスケジュールを把握するんですって。そういうことを企業レベルだけじゃなくて、政府レベルでもやっているし、中国ってそういうお膳立ての国というか、情報収集の国なんだなと改めて思いますね。
福田:すごいですよね。