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タワマンの資産価値には疑問

福田 淳の最新本『ストリート系都市2022』発売記念! PIVOT代表 佐々木紀彦が特別インタビュー(前編)   Talked.jp

佐々木:「これからどこに住むべきか」というテーマは、読者にとっても、大きなヒントになったと思います。現代のタワマンを「キャピタリズムの象徴」と書いておられましたけども、そういった世界でもなく、またみんなが地方へ行くという世界でもなく、「都市3.0」的な、これからの新しい都市のかたちのビジョンが書かれているなと思ったんですよね。

福田:ありがとうございます。

佐々木:そこが面白いなと思いました。そういう意味では「タワマンは終わりだ」ということ、そしてストリート系都市においては「街の1階が大事だ」というキーワードが重要ですね。やはりタワマンは、終わりですか?

福田:僕の場合は、港区のタワマンも杉並の一軒家も沖縄の二拠点も、全部やってみたんですね。タワマンはコンシェルジュがいて楽だとか、沖縄に行って自然とたわむれて癒やされるとか、全部やって結局、「(住む場所って)麻布十番が一番いいんじゃないの?」という分かりやすい結論になりました。こういう番組だから言ってしまうんですけど、ちょうどこの本を書き終わった直後くらいに、森ビルの開発の人から……。今、大きいビルを建てているじゃないですか。「虎ノ門・麻布台プロジェクト」。

佐々木:はい。

福田:「そこに美術館を入れるので、アドバイスをください」というお話をいただいたんですよね。でもそのお仕事を受けてしまうと、この本が出たときにご迷惑をかけちゃいけないので……。「すみません、森ビルがいかに田舎者か、という本を書いちゃったんですよ。本当にごめんなさい」と言ったら、「いや、そういう助言が知りたいんです。我々のどこが悪いのでしょうか」とさらに問われまして。なので「まず50階以上に美術館を持ってくるのは、本当に田舎者に見えてしまうんです」と、本で書いたことをお話させていただきました。というのは、やはり美術館や図書館というのは、1階にあるべき、ストリートにあるべきものなんですよね。

佐々木:街の顔として、ですね。

福田:ええ。ルーブル美術館だって、街の1階ですよね。だから本来、1階にあるべきなんですよ。新国立美術館がうちの近所にありますけども、それもみんな「ウォーカブル」です。歩いて楽しんで、そのあとカフェに行って飲んでという導線がある。なのに50何階まで上がって、漫画のコラボの展示も見て……って、なんかもう閉じてるじゃないですか。それともう一つは、「タワマンは資産価値がある」と言われていることについてのアンチテーゼがありました。1997年の建築基準法の改正により容積率が緩和されたことでタワマンが一気に増えて、今23~24年目ですよね。タワマンの多くが建設から20年以上経って、大規模修繕工事が必要な時期になってきているけれど、コロナの影響で外国人労働者の入国ができないとか、原油高やロシア制裁で建築材料費も高騰しているとか、タワマンの修繕費不足が問題になっている。武蔵小杉のタワマンでも、以前台風の影響による断水騒ぎがありましたよね?

佐々木:浸水がありました。

福田:今年の宮城地震のときは僕が住んでるタワマンも停電になって。そうすると、トイレが流れないんですよね。タワマンはタンクというものがなくて電気だから、停電するとトイレが流れない。「そんな不便なことって、本当に我々の未来なの?」 と。

佐々木:なるほど。

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