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オフィスの概念を変えたい

福田 淳の最新本『ストリート系都市2022』発売記念! PIVOT代表 佐々木紀彦が特別インタビュー(前編)   Talked.jp

佐々木:その意味でもオフィスって大事だと思うんですけども、「オフィスは全てカフェになる」という内容もありましたよね。それはどういうことなんでしょうか?

福田:これは僕のオリジナルではなくて、以前コロナ前に孫泰藏さんとランチをしたときに伺った内容を書きました。当時は東京・青山にあったMistletoe(ミスルトウ)のオフィスがまだあって。泰藏さんがシンガポールに移住した直後だったのかな。日本時間の10時に合わせて技術者たちと打ち合わせしていると、ふと「なんでみんなそこにいるのかな」と疑問に思ったそうなんです。「なんとなく会社があるから」ってスタッフが言うので、「オフィスなんていらないじゃん」と。やはり先見の明がおありになって、「オフィスってみんなの雑談の場でいいんじゃない?」という流れから、「オフィスはもう、巨大な食堂にしたらいいんじゃないか」っていう雑談になったんですよ。「福田さん、グルメっぽいからそういうアイデアください」とおっしゃって、そのときに友人のプラントハンター・西畠清順が管理する川西のオフィスを思い出しまた。若い職人さんが20人ぐらいいて、オフィスの中にいつでもまかないを食べられる食堂があるんですよ。近所のおばちゃんが3人、楽しそうに朝から仕込みをやって、味噌汁の匂いとかご飯の匂いとか漂っていて、もうたまらない感じなんですよ。そのイメージを泰藏さんに話して、「オフィスに近所のおばちゃんを集めて、“ちょっとあんた残してるけど具合悪いの?”みたいなこと言ってもらえる感じの食堂を作ったら、場所に意味が出るんじゃないですか」って。それは面白いって言って下さったんですけど、結局オフィスごと撤廃という英断をされたわけですけどね(笑) そういう雑談が発祥で、オフィスは昔で言う「オフィス感」は、もうなくてもいいんじゃないかと思ったわけです。

佐々木:たしかに。理想のオフィスは原宿のようなストリート系の街に、しかも低層であって、周りにもいろいろなユニークな人が集まって、しかも近所に美術館もあって……というような、そういうスタイルが今後理想のオフィスでしょうね。

福田:理想ですね。僕は前職のソニー・ピクチャーズエンタテインメントに入ったときは、「専任秘書と個室部屋と運転手付き車」を得ることが、当時はゴールだったんですよ。今思えば、ばかばかしいですよね。自分の自宅よりも狭い部屋をもらって、「やったー」とか言ってるわけですから。

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