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ストリート系都市に欠かせない「知」「緑」「人」

福田 淳の最新本『ストリート系都市2022』発売記念! PIVOT代表 佐々木紀彦が特別インタビュー(前編)   Talked.jp

佐々木:福田さんは本の中で、「ストリート系都市の3条件」を出されていたじゃないですか。「知」「緑」「人」の3つですね。そのことについて改めて、ぜひご紹介をしていただくと、視聴者のみなさまにも非常に役立つかなと思いまして。

福田:ありがとうございます。僕は大阪生まれなんですけど、大阪って、まず緑がむちゃくちゃ少ないんですよ。

佐々木:そうみたいですよね、本当に。

福田:ええ。理由は、都市計画がなかったからなんです。民衆が強かったんですね。つまり商売をやる人にとって土地は価値だから、「公園なんてもったいない」って、緑は全部駆逐されていったんですね。けれど東京の広尾で暮らしていたら、有栖川公園とかあるし、結構いろんな虫がいます。代々木公園も新宿御苑もすごいし、日比谷公園だってカブトムシが出たりしますしね。ストリート系都市は、「緑が豊富」というのが第一条件というと、「じゃあ別に沖縄でもいいじゃん」って言う人がいるんですけどね。沖縄もハブとかいっぱいいますし、都心の中で管理された緑は、安全安心ですから、沖縄とは違います。

2016年に米フロリダ州オーランドのテーマパーク「ディズニーワールド」にあるホテルの湖沼で、2歳の男児がワニに引きずり込まれて亡くなった事故があったんです。当時のボブ・アイガーというCEOが非常に心痛めていました。ワニなんか出たら、それはテロと同じです。だからディズニーの幹部のショックは、いかばかりかと思います。そして「ストリート系都市」にはまず、整備された都会の中の緑が大事である、と。外苑の木をいっぱい切ってしまうことに対して反対運動が起こるのは、至って自然な流れだと思うんですよね。

あともう1つは……。僕は沖縄が好きなんですよ。でも、これは対比で絶対に出さざるを得ないんですが、知的好奇心がある人が少なくて、満たされない。ゆっくり読書をするのにはいいと思うんですけど、例えばこうやって佐々木さんと話をしたり、「この人に会ってみたいな」といったとき、東京はそれが叶うじゃないですか。そういう自分が入るべきコミュニティが無数に、多層に、用意されているのが「ストリート系都市」の条件だと思うんです。

佐々木:本書では、「アートの要素」にも触れておられましたね。

福田:アートについても、コロナが教えてくれたと思うんです。なんて言うんですかね……。「もう生きていたらいいじゃん」っていう状態に、我々は追い込まれたんですよね。「家にいなさい」とか「人と接するな」とか。それでオンラインが流行ったりすると、アートとか、一見ムダに見えるものが実は、心の充足につながっていたことが分かった。 資産価値の側面もあったのかもしれませんけども。2020年の夏から1年間、特に欧米のいろんな資産形成のポートフォリオを見ると、住宅で利回りが13%ぐらい上がったんですね。今は下がっていますけども。そしてアートはというと17%で、いろんな投資の中でもアートが一番、利回りがあったわけです。お家需要が期せずしてアートの必要性を浮き彫りにしました。

コロナの間、みんな潤いが欲しかったですよね。で、その潤いの中に、Netflixブームも表れていたんだと思います。また面白いと思うのは、2022年の今は、サブスクにちょっと飽きがきていますね。アフターコロナの2023年以降はまた、劇的に変わっていくと思うんです。

佐々木:ええ。Netflixは落ちはじめましたね。

福田:おうち需要から、また外に対する再発見が高まっている証左かなと。だからやっぱり、リアルなストリートはこれからトレンドとしてもっと来るだろうという読みはあるんです。

佐々木:2023年からの強いトレンドとして来るんでしょうか?

福田:来ると思います。この「Netflixに対する飽きた感じ」っていうのは、この1カ月くらい、みんなすごい言ってますよね。あんなに熱狂していたのに、こんな簡単にクラブハウス化が進んでしまって。だけどコンテンツで感動するとか、散歩するとか、人間の基本的動作ってあまり変わらないわけじゃないですか。だから揺れ動きの中で生きていくんでしょうけども、その組み合わせが何かに特化したときは、一方で何かが崩れるというこの感覚は、コロナがインフルエンザ化するときにもっと起きるのかなという気はしています。

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