メタバース・仮想通貨は「来ない」
佐々木:この流れでお聞きすると、NFTとかメタバースとか、そういうところでも福田さんはちょっと懐疑心をお持ちじゃないですか?
福田:もう「ないな」と思っています。
佐々木:もうダメですか? それもない?
福田:ないですね。まず「ブロックチェーンをベースにする・しない」ということをおいといても、メタバースって今までも、もう何度もやっているわけですよね。「なのになんで定着しないの?」っていうと、最新のPCを持っていても動きがとろいとか。友達のIT経営者が「大物演歌歌手のメタバースでアバターが、スナックライブをやりますよ」って言うイベントを企画しました。すんごいサーバーを用意しても、「同時に50人しか入れない」っていうので、「いやもう普通のwebでいいでしょ」と思うわけです。「メタバースが来ます」って言うけど、前からそういうふうに言っているけど「来て」いないから……。別にいまだにブログも読んでいるし、テキストだけで満足できる要素もありますし、YouTubeなんて気軽ですよね。こうやって撮って話して、見て聞けるわけですから。そんな気軽なものがあるのに、メタバースみたいなそんな難しいことをやる意味がないので、やっぱり来ないかなあ、と。ブロックチェーンとか関係なくても、来ないかなと思います。来ても、非常に特殊なものになるだろうなっていう。仮想通貨については、あんな欠点だらけの脆弱なものはないし、ハードフォークを繰り返して価値の希薄化ばかりしているものに対して価値が上がるとすれば、それは「パチンコ屋は必要で価値がある」というのと同じなんですよ。つまりそれは、儲けた人は誰もいない、ということ。なんだけど、毎日並んでも行く人いるわけですよね。
佐々木:なるほど。それ自体を楽しむ、みたいな。
福田:ええ。だから仮想通貨は自分にはもう関心がないです。グローバル性はないと思うんだけども、地域通貨のようななかたちではあってもいいと思います。けれど世界を変えるほどとは、どうしても思えない。だから「ストリート系都市」というテーマを出したのは、「もっと身体性、リアリティを取り戻せ」と言いたかったんですよね。イーサリアムを持っていたら、上がったり下がったりするかもしれませんし、そのタイミングによって儲ける人はいるかもしれませんけども、全体として見たときに、「仮想通貨ってパチンコ屋さんだから、それ以上の価値はないよ」っていう。みんなが必要以上に、価値を言い過ぎているのかなっていう気がしました。