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「スタートアップ」は「観光」に続く日本の目玉

“泥船”の出版をどう変える? 元ベストセラー作家が目指す「印税率5割」革命とは(後編)   Talked.jp

福田:時代の変わり目ですよね。今20代の人、21歳から30歳までの9年間で「大手企業に勤めた人」と「スタートアップした人」とで平均収入を調査したデータを見たんです。するとスタートアップした人のほうは最初は全然給料もないようなレベルなんですけど、トータルで言うと30歳で年間100万円くらい年収が高かったんですよ。この「サラリーマンなるほうが損だね」っていう数字が出ている以上、スタートアップも大きな仕事の選択肢です。日本はクールジャパンと観光と、スタートアップが柱になります。スタートアップの盛り上がりのきっかけは、メルカリの上場だったと僕は見てます。 メルカリは2018年6月19日東証マザーズに上場して、当時の時価総額は約7172億円。マザーズの時価総額ランキング2位だったミクシィ(約2318億円)と3倍以上の差をつけたんです。この時に何が起きたのかというと、「1%の株主が、時価総額70億円持っちゃった」ということ。いきなり70億の資産家になった人は、当然それを元手に、また新しい投資に充てますよね。国内でスタートアップがむちゃくちゃ増えたのは当然かな、と。だから、これからの日本の担い手は、メルカリに投資しているような1%的な人たちと、関西人だと思ってます。関西人って台湾の人と似ていて、みんな社長じゃないですか。昔、大阪の淀屋橋で、「社長!」って言ったら全員振り返るっていう4コマ漫画があったんです。だからイノベーション精神が溢れているんじゃないかなと。

我々の年代って、大企業勤めで割増退職金もらい、早期退職してスタートアップして失敗する確率すごく高いです。それは40年間大企業の看板で仕事してた人が、いきなりそれがなくなって、スタートアップってできないんですよ。まず、お客さんのところに行かない。なぜなら今まで呼びつけていたから。あと後輩に威張る人。これもほとんどダメで、僕は「後輩は先輩」と思ったほうがいいと思うんです。だって自分のほうが明らかに社会との接点が固定的になっていて、知らない人と会える可能性が低くなっているじゃないですか。そういう大企業の悪い体質ばかり受け継いでしまうというか。

田中:知らんことを知っているわけですもんね。後輩のほうが。

福田:そうなんですよ。そっちが明らかに先輩なんです。長く生きているからって偉くないのは、たくさんの老害を見ていて明らかなです。そういう人が割増退職金もらったあと、フェイスブックに何を最初に書くかと言うと、「私は今までこういうことをしてきました。これからはこういうことしていきます」っていう履歴書を書いちゃう。今までは面談とかでそういう人のことをむちゃくちゃ批難していた人が、同じ事を投稿するわけですよ。でもそうじゃなく、キラッと光る自分がやりたいことを1個だけ書けばいいんですよね。僕はいつも会社を辞める人に対しては、そうアドバイスするんですけど。広告キャンペーンでも一番関心がないのは、「創業300年です」っていう。それはお宅の話で、「創業1年でもすごいやつおるで」と言ったときに、その300年に何の価値があるんだろうと思います。スターバックス日本進出20周年っていうけど、「だから?」と。美味しいコーヒーはどんどん出ているけど、それに対して御社はどうやって立ち向かうんだって戦略を聞きたい。でも、そういうのは言ってくれないですよね。「おかげさまで20年」とか。だから没個性になっちゃうのかな。

田中:そうですね。その創業何年って、もう創業天明元年とか。もう岩佐佛喜堂とか山中大仏堂の世界ですよね。そんなこと言われても(笑)

福田:しかもそれ、せめて西暦に直してくれと思うんですよね。「あ、頼朝があれしたときかぁ」とか、全然分からないですよ(笑) ヤフー20周年だからって「ネット始まって20年やな」っていうだけじゃないですか。これからGoogleにどう勝とうとしているのかってことを聞きたいわけです。しつこいんですけど、標準化されたゴールしか目指さない教育をしてきた社会だからですよね。。だから僕はこの国で勝つのって、簡単だと思うんですよね。脱サラした人も過去のことはいったん忘れて、自分が得意なこと、やりたいことを1個だけ、それでしばらくやってみなはれと思うわけです。

田中:ほんま、そうですよ。僕のところにも、未だに問い合わせがあります。「元電通の田中さんに今の広告業界についてお聞きしたい」とか。分かるわけないやろと(笑)分からんから辞めたし、それ、電通の人に聞きにいったらええがなって思うんですけど、聞きにくる。聞きに来る人の頭も堅いんですよね。

福田:そりゃそうですよね。田中さんはベストセラー作家という経験もあって、知見を聞きたいと思うんでしょうね。でも、それを聞かれたときに、「いや、分からへん」って言うの、面白いです(笑) もっといろいろお話したいところですが、今日はそんなところで。本当にありがとうございました。楽しかったです。

田中:ありがとうございました。ちょっと妙になついてしまって、福田さんにまた勝手に会いに行きます(笑)

福田:ぜひ! 今度、食事でも行きましょう。

(了)

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