人口を半分にしてみよう
奥:先程の話でひとつ気になったんですけども、昔の人や後進国で子どもの出生率が高いのは、死ぬ確率も高いからですよね。
福田:それはそうですね。種の保存のために。
奥:たとえば明治時代の日本とか、アフリカなどは今も、乳児死亡率が高いですからね。「1」を確保するために、「9」「10」が要る。うちの父も9人兄弟でしたが、私が生まれた頃にはすでに何人か亡くなっていました。そうやって間引かれてしまう環境にいれば、多く産む必要がありますよね。9人育てようとは最初から思ってはいなくて、3人くらいを育てきるために9人を産む。
福田:なるほど。今のお話で分かるのは、経済性の確保の問題よりも、種の保存に必要なインフラ、社会をどう整えていけるのかという戦略・戦術の話しかもしれませんね。
奥:そこがいちばん重要ですよね。なので、やはりどっちか…。人口3000万か4000万、福田さんはどっちがいいですか? 今日決めちゃったほうがいいと思うんですけれども(笑)2000万はちょっと少ないかもしれないですね。
福田:そうですね。だからやっぱり、韓国とかイギリスあたりの人口でしょうね。今1億2000万人だとすると、せめて半分でしょうか。 *韓国の人口:約5,140万人/イギリスの人口:約6,670万人 (2021年9月現在)
奥:じゃあ半分…まず日本は6000万人くらいを目指しますか。
福田:ええ。半分を目指すと、まず満員電車問題も片付くんです。そもそもドローン自動車みたいなのが普及すれば、電車っていちばん最初に廃れますよね。電車は、めちゃくちゃ大量消費時代の名残ってことになるんじゃないかな。 ちょっと過激な話になるんですけど、ハワイのオアフ本島と沖縄の沖縄本島って面積も人口も近いんですよ。100万人前後で。コロナ禍の3年間、僕は東京と沖縄を行ったり来たりしていてわかったのは、100万人というと、「知り合いの知り合いが知事の(玉城)デニーさん」だったりするんです。ハワイもそうで、「友達の友達でほぼ全員に会える社会」なんですよ。これってすごく独立しやすくて、いまはSNSのつながりもあるし、国家の単位として100万人というのは、すごく有効じゃないかと思って。
奥:なるほど。
福田:だから、東京都の人口でいえば約1400万人(令和5年1月時点)とかいると、もうこれだけでもいろんな社会問題が解決できない…。イェール大学アシスタント・プロフェッサーの成田悠輔さんのご著書を読むと、「若者が全員野党に入れても政権はひっくり返らない」とあったんですね。だから人数だけでいうなら、東京はいっそ100万人単位の「合衆都」にしたほうがいいんじゃないかな。その中には、寝たきりになった人ばかりのVR国家もあって、緩やかに連合していく。そこで福祉の予算配分を中央のほうで変えていけばいいですよね。