ネットを捨て街に出よ ~五感に響く生き方がすべて~

ネットを捨て街に出よ ~五感に響く生き方がすべて~

主催 : 一般社団法人switcher 「超参加型ワークセミナー」
日時 : 2018年3月6日
場所 : 株式会社クリックネット「フリースペース」
構成 : 井尾 淳子
撮影 : 越間 有紀子

福田 淳氏

ブランド コンサルタント。1965年、大阪生まれ。日本大学芸術学部卒業。衛星放送「アニマックス」「AXN」 などの立ち上げに関わったのち、 2007年にソニー・デジタルエンタテインメント創業、 初代社長に就任 (現 顧問)。 2017年、ブランドコンサルタントとして独立。NPO法人「タイガーマスク基金」の発起人をはじめ、 文化庁、経済産 業省、総務省などの委員を歴任。 2017年、新しい世界を切り開 くリーダーとして、カルティエ提供「チェンジメーカー・ オブ・ザ・イヤー2016」を受賞(日経BP)。近著に『SNSで儲けようと思ってないですよね?: 世の中を動かすSNSのバズり方』(小学館)がある。

来るべき「ライフシフト」に向けて

福田:本日は、一般社団法人Switcher様主催「クリエイティブアカデミー」にお招きいただき、ありがとうございます。記念すべき第1回ということで、光栄です。

これからの寿命100年時代に向けて、「人は人生戦略をどう考えるべきなのか」ということで、「ライフシフト」という言葉が注目を集めています。僕は今52歳なのですが、どうも流行り言葉に乗りたくなる性質のようでして。10年前に創業したソニー・デジタルエンタテインメント社を、昨年11月末で独立しました。

20世紀では、人生は70年と言われていました。1947年では、人間の寿命は男性50歳、女性で57歳。70年の歴史というと、0~20歳まで20年間学び、20~50歳まで30年間働くと考えると、大体50歳でリタイアです。天才バカボンのパパは41歳。全然、そうは見えませんけどね(笑)。

でも人生70年時代の41歳は、かなりベテランの域ですよね。ところが今の41歳を考えると、まだまだ働き盛り。政治の世界でいえばそれこそ新人で、パシリです。それぐらい層が厚くなっている今、英国のリンダ・グラットン教授(『LIFE SHIFT』の著者)から、「2007年に日本で生まれた子どもについては、107歳まで生きる確率が50%もある」というデータまで出てきました。2016年の調査では、日本人の平均寿命は男が80歳、女が87歳と言われていますから、僕も100歳ぐらいまでは生きるんじゃないかと思っています。

 そんな「ライフシフト」が叫ばれているにも関わらず、今の世の中の会社の制度では、60歳定年です。そうすると、あと40年どう生きるのか。社会保障も年金もこんなむちゃくちゃな政治が続き、年金の支給が75歳からになれば、60~75歳までの間に餓死する人が出るのではないかと危惧しています。こんな深刻な状況にあるのに、革命ひとつ起きないという、日本人というのはじつに忍耐強い国民であると言えますが、少なくとも自分だけは勝手に備えておこうと。よくドラマでは悪いやつが、最後1人だけ悠々と円盤に乗って地球を脱出するシーンがありますが、あんな感じですね。それで僕は、株式会社スピーディという個人事務所をつくりました。

 僕は関西出身で、せっかちなものですから、「パッパッパッとやろう」というのが社名の由来です。コンセプターの坂井直樹さんには、弊社の会長に就任していただきました。で、一体なんの会社なのかというと、ブランディングの会社です。僕がこれまでの社会人人生で関わってきた仕事というと、テレビCMや衛星放送、企業のデジタルコンテンツなど、すべて広告の仕事で、広告収入によるものでした。「様々なクライアントさんとお付き合いをしなければ、収入が得られない」という仕事を続けていたものですから、少し広告に飽きてしまったところもありまして。ですから、「これからは広告ではなく、ブランディングの仕事をしよう」と思ったわけです。

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