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中国ビジネスの商機はブランディング

グローバル時代のデジタル・ブランディング思考法 ~WASEDA NEOトークセッション~ Talked.jp

福田:いやホントに、全く素晴らしいですよ。で、構造問題に話は戻るんですけど。深センの中間管理職がいない部活みたいな職場をいっぱい見ると、「やろうぜ!」「やるか!」みたいな感じじゃないですか。でも日本はやっぱり20世紀型、工場型組織のままですね。上司がいて…主任とか課長がいて…っていうのが染みついちゃっているんで、その場で決められない人ばかりなんですよ。で、ある程度の役職の人も何も決められませんからね。

陳暁:権限がないんですよね、誰にもない、フロー、集団決定制度なので。日本の企業は。それがやっぱり問題だなと。グローバルに合わない。

福田:そう、権限がないからどんどん遡って上層部に行くじゃないですか。でも誰も決めないわけですよね。だから競争力が落ちている。まあ、ちょっと強調して言うとですけどね。そういうことを変えていくためには、やっぱり日本のベンチャーの人たちに、もっと中国に興味を持ってもらわないといけないんですけど。でも…なんでしょうね、メディア関係がとくに多いですけど、やっぱりみんなサンフランシスコに行っちゃうんですね。日本で成功してサンフランシスコ行ってさらに成功する確率と、東京で成功して北京に行って成功する確率だったら、僕は北京のほうが精度は高いと思うんですよ。

陳暁:うんうん。そうだと思いますよ。

福田:だけど、それに誰も気がついていないので…。今日をきっかけに、1回上海か北京に行ってみようかと思う方が少しでも増えれば、この会の意味が少しあるのかなと思うんですけど。

陳暁:サンフランシスコより中国のほうが勝率高いことを私のロジックで言うと、アメリカや日本はもう仕上がっている国で、中国はまだこれから。ビジネスに関してもいろんな企業が出てきて儲かってはいますけど、ブランディングから徹底してやっている企業はまだ出てきてないと思っていて。それこそ「ブランディング」という単語が言われはじめたのは去年くらいからです。100年企業は日本のほうが絶対多いから、そういうノウハウを持って日本から中国に行って、正しくビジネスパートナーを見つけることができれば、成功すると思いますけども。お互いの長所でタッグを組む。

福田:中国のコーヒーチェーンスタートアップ 「Luckin Coffee(瑞幸珈琲)」*って、今すごいじゃないですか。たとえばオンラインアプリで1回成功した人が、世界を旅して自国に帰って来ると、「オフラインをいかにオンラインにするか」っていうことがテーマになっている。たぶん中国の人は、そういう視点で日本の街を見て、「なんでスターバックスでこんなに並ばなきゃいけないんだろう」って思ったんでしょうね。「その場でオーダーしておいて取りに行くだけでいいじゃん」って。Luckin Coffeeはすごい成功だし、話題になってる。やっぱり夏代さんのおっしゃる通り、ブランディングの勉強はしていないから、競合他社が同じように真似してきたときに防げるのかなと。ブランディングは単年で業績が悪かったときでも、あるイメージを保ったときに継続してユーザーが来る仕組みなので、販促ではないわけです。

* 2019年末時点で4,507店舗を擁する中国最大のコーヒーチェーンで、中国国内のスターバックス3,600店舗を超えた。注文から決済、そして受け取りのお知らせまで全てスマホアプリで行うという形式を取っており、顧客は並ぶ必要がない

陳暁:そうですね。中国は今まで短期的モデルしか作ってきていなくて。「今年売り上げて、来年家を買って終わり」みたいな感じだったので、これからは変わっていくと思うんですよ。最近よく受ける中国企業の話だと、「日本のコンセプトでやりたい」とか「日本のデザイナーを使いたい」とか、「日本ブランドとしてやりたい」みたいなことの根底にあるのは、ブランディングなんですね。それ以外は全部、中国のほうが安いし早い。ただ、いろんな人が勝手にやっちゃうっていうのが、中国の「マルチタスク分散型」の速さでもあるんですけど。その分日本はラインがちゃんとあって、一番上の人しか権限がないのが遅さでもあるけれど、変な所から勝手に新しいことは生まれないじゃないですか。だから良し悪しでもあるとは思うんですけどね。そこをうまく集約できるようなプロデューサー的立場の人がいたら、すごいうまくいくと思います。

福田:中国で見ると、MUJIとか、ユニクロとか、ある程度完成されたものが出てくると、真似も多いんでしょうけど。「何で元ネタより越えられないんだろう」っていうところで、次のステージがあるのかもしれませんね。

陳暁:そうですね。アパレルで言うとZARAとかユニクロとかファストファッションが中国に入ってから類似カテゴリがバーッと国内にできる。ただ、中国人の趣味・趣向を本気でやったら、おそらく中国企業のほうが強い。たぶんこの先5年は、ちゃんとブランディングがなされた企業が初めて出てくる年だと思います。今中国が最先端なのはIT分野でしょうかね。

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