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市場として捉える目が必要

グローバル時代のデジタル・ブランディング思考法 ~WASEDA NEOトークセッション~ Talked.jp

福田:日本の悪口ばっかり言ってなんなんですけど。でもそういう、「これがダメだったからあれにしようか」っていうしつこさがなくなってしまったことを、我々はもう1回中国の人たちから学びなおしたほうがいいと思うんです。あの…言い方は悪いですけど、ガツガツした貪欲な、「ダメでもあれがあるけどこれもある」っていう感覚。それを企業に伝えていくのは、ものすごい体力がいるでしょう。

陳暁:そうですね…けっこう体力いりますね(笑) 諦めの悪さ、臨機応変さ、図々しさ。そいうのは大事ですよね。それを踏まえて中国のプライドも折らず、日本のプライドも折らない。弾が壁に当たらない感じで私が真ん中で話を進める…みたいな(笑)

福田:そういう日中のマーケティングという、非常に数少ない貴重な役割を担われていて、何が仕事としてエキサイティングですか?

陳暁:例えば日本のクライアントだったら、考え方が変わった、と言っていただくことでしょうか。「陳暁さんの話を聞いて、見る目が変わりました」とか。「だったらこういうこともできるよね」っていうふうに、みなさんの発想の幅がワッと広がる瞬間があるんですよ。1ヶ月くらい打ち合わせをすると、そうなるタイミングが来るんですけど、その意識変化の瞬間を目撃するのが一番幸せです。それを私ひとりで全社にすることはできないし、あくまでも1チームにしかすることができない。だったら、強く開拓できたその1チームで全社にその意識改革を布教できるようにするのが、私の目的かなと思ってやってます。

福田:自己紹介を遡るかもしれませんけど…。夏代さんは以前、広告代理店にいらっしゃった?

陳暁:そうですね。東京の広告代理店にいました。私が東京に来たのは2013年で、それのタイミングがちょうど、中国がガッと伸びる兆しだったんですね。PM2.5が終わったくらいのタイミングで、いろいろ政策も変わって。ちょうどそのときに深センが盛り上がり始めて。Wechat,DJIとかテンセントとかHUAWEIとかが出て来たのも、全部2013年くらいです。で、2013年に盛り上がった企業が今、大手と呼ばれている企業ですね。

福田:面白いですね。HUAWEIの創業者が日本のメディアのインタビューに答えている記事を以前読んだら、「オルブライト長官がいるとき、アメリカで何かやろうと思って毎回確認してきたけど、トランプになってハシゴ外されてこんなになっちゃった」と。「しばらくは頼まれて状態が良くなってもアメリカで商売はしない。だけど考えてみたら日本があるよな。第6位の韓国あるよな」と。「日中韓で組めば、大きな経済圏をアジアで作れるじゃないか」と。素直に聞いたらその通りですね。

陳暁:中国のビジネスマンに聞くと、やっぱりアジア経済圏で考えてるんですよ。その中に日本も韓国も含まれてるし、北朝鮮も含まれてるし、タイとか陸続きの国も全部含まれていて。要は大枠で考えて、「対ヨーロッパ」「対アメリカ」って考えているんですけど、日本はそう考えてないじゃないですか。むしろ対立構造で中国を語っているので、中国は仲間にしたいと思っているけど日本は敵だと思っているという。この矛盾が解けない限り、ビジネスはうまくいかないと思います。「親日かそうじゃないか」だけで考えていて、市場として考えてないからだと思いますよ。一番良くない。

福田:そうだと思います。

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