世界で始まっているイノベーション~インポッシブル・バーガー
環境の話が出たので、お肉の話をもう少ししたいと思います。
「環境に悪いのなら、肉は食べてはいけないのかな」と思った人、今日はぜひ“インポッシブル・バーガー”というハンバーガーのことを覚えて帰ってください。これは、インポッシブル・フーズ社が発売している代用肉のこと。代用肉というと、オーガニックとかヴィーガン(菜食主義)が浮かびますが、このインポッシブル・バーガーは、とくに「ヴィーガン向け」という打ち出しはしていません。ヴィーガンというと「からだにはいいんだろうけど、味が今ひとつ」とか、「物足りない」っていうイメージがありませんか? でもこのインポッシブル・バーガーは、なんと牛肉100%のハンバーガーとほぼ遜色ないほど、ちゃんと肉の味がして、美味しいんです。味もさることながら、この代用肉の素晴らしいところは、一般的な牛肉と比べると、なんと8分の1しか温室効果ガスを出さないこと。なぜかというと、「肉の味」を出している正体は、肉の味にする分子「ヘム鉄」というものだからです。これは大豆の根から生成できるのだそうで、つまり、実際の牛を飼育するわけでも、加工するわけでもない。メンテナンスもほぼなければ、水の使用量も20分の1で出来てしまうそうです。
つまり、これからの社会には、こういったイノベーションが必要なんですよね。皆さんが普段食べているハンバーガーを一つとっても、関心を持って調べて深堀りしていくと、どんなことでも自分のアップデートにつなげられると思うんです。
(コロナを経験して)
貧富の差が拡大すると、世界各地で文化の分断が起こります。飽食にあけくれた先進国の人たちは、サスティナブルな価値観に目覚め、急速にヴィーガン(菜食主義)になっていきます。一方で、先進国を支える形となった後進国での家畜や加工工場などはその影響を受けて、さらなる経済悪化が懸念されます。しかし、人々が現在のまま肉食を続けていくと、世界的な水不足やCO2排出、食糧不足を解消することはできません。これからは、インポッシブル・バーガーのような人工肉を新しい産業に育成していくことが大事ではないでしょうか。