老後の心配に意味はない
福田:頭の中の心配の数の急増を鎮静化させてくれるのは、『13歳からの世界征服』のような本を読むことで得られる経験だったりしますよね。物の見方を、ガラリと変えてくれる。
中田:そうですよね。私も若い頃、エジプトに暮らしていたという経験は、やっぱり大きいですよ。
福田:エジプトって、当時はどういう感じだったんですか?
中田:私が留学していたのは今から約30年前なんですけど、例えば1食にかかるお金が5円とか10円とか。バスに乗るのも5円とか、そんなもんでした。我々日本人というか外国人は、現地の人に比べれば豊かな生活をしていたんですけど、それでも貧しいといえば貧しいわけです。それよりも、ずっと貧しいエジプト人たちを見ていたわけですけども、彼らは貧しいなりに普通に生きているわけですね。本当に何事もうまくいかないっていうところで。もちろん人もたくさん死んでいくわけですね、若くして。そういうところでしたから。でも、まあ、それで普通にみんな生きているわけです。
福田:はい。
中田:最近も、イスラム国なんかにも行っていましたが、世界と絶縁していることもあって、本当に貧しい。電話なんかも、たまたま隣国の、トルコなんかの電話が通じてるエリアだけがかろうじて携帯が通じる。水道もなくて、配水車が来るとか、そういうところ。それでも、それよりも苛酷な環境の、例えば今のガザとかパレスチナなんかもそうですけど、そういうのをいくらでも見てきたので、そんな国々に比べると、「なんでこんなことで心配してるんだろう」と思いますよね、日本は。
福田:その観点で言うと、日本の社会の心配ごとなんて、なんちゅうことはないかもしれませんね。「だって、生きてるじゃん」と。
中田:そうなんです。
福田:それで、いつかは死ぬじゃんと(笑)
中田:そうなんですよね。しかも、老後の心配とか、若い人が40年後の心配とかしてるわけですよね。何を考えてんだと思いますよね、本当に。
福田:暇ってことなんでしょうか?
中田:まあ、そうなんですよね。本当に心配ごとをなくそうとしても、結局心配の総量は変わらない。それがどんどんバーチャルなものになっていく。40年後の心配なんて、多分全然、当たってないですよね。
福田:そう考えたら、別に3年後でも5年後でもそんなに変わんないかもしれない。
中田:そうなんですよ。本当に今だと3年後も分かんないですね。本当に分かんないです。
福田:もうCOVID-100くらいまでなっているのかもしれないですしねぇ……。
特に僕なんか、企業経営をずっとしてきて思うのは、3カ年計画とかは全部無駄だったなと、コロナが教えてくれたように思えましてね。
中田:そうそう。本当にそうです。