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コミュニティづくりには“編集者”が必要

お寺が改革する”デジタル・ウェルビーイング”の世界   Talked.jp

伊藤:福田さんのお話にも、「檀家制度は契約者なきサブスクリプション」というご意見がありましたけども、もう少し自分の意思を持って、「このお寺と、この時間には関わりたいけど、この時間、このコンテンツは不要」というのは実際にあると思うんです。そこのシステムづくりは簡単じゃないですが、やっていきたいなと思っています。

福田:タスクは無限にありそうですね。

伊藤:いろんな人の教えをいただかなきゃいけない。福田さんもいろいろ、教えていただきたいです。

福田:僕でできることがあったら、何でもやりますよ。さっきもお話をした、プラットフォームとしての意識を高めているようなお寺は少ないから……。コミュニティをつくるのが下手だなって思うんですよ。僕の場合はインターネットの仕事をやっていたことで、コミュニティづくりが得意になったんですけども。関わる人の数を増やすためのコミュニティの秘訣はひとつ、「編集者」という存在ですね。そのコミュニティを引っ張っていく編集者がいると活性化するんです。いい編集者がいれば、365日、絶対にお題(テーマ)があるんです。「きょうはおにぎりの日です」とか、「きょうは個人商店の日です」とか、なんかお題があるわけですよ。お寺にはその材料は山程あるような気がしました。今日のお話を聞いていたら。

伊藤:そうすると、本当にコアに楽しもうと思うと、編集者としてのサロンオーナーというか、サロンを回していくための編集力が求められますね。

福田:結局、編集者と普通の人との違いは何かというと、「ハンターの目で世の中を見ているかどうか」に尽きるんです。僕はこの『Talked』シリーズをなぜ始めたかというと、2008年にまだ雑誌が元気だった時代、雑誌の対談の依頼がよくあったんです。でも紙面の都合で切られて、「いいこと言ったのに、切られているなぁ」と思って。「すいません、謝礼は安くしてもらっていいので、テープ起こしを全部いただけますか」と頼んで。自分の編集者でチームを作って再編集して、ネットで上げたいんです、と。快くわがままを聞いて下さったので、このコンテンツができたわけなんですけども。 そうしたら、この対談をネットで読んだクライアントから、仕事がたくさん来るようになったんですね。で、自分の話なんてたいしたことなかったかもしれないけども、それこそ人の気を使って、自分のブランディングにはからずも結びついていったんです。それからはもう自主的に、この数年は「自分が会いたい人に会いにいく」というメディアにしました。だから、このシリーズをやっていると、自動的にハンターの目になります。

伊藤:なるほど。

福田:東凌さんはまだまだおやりになりたいこともたくさんあるし、また京都にも人が戻ってくると思うんですけども、そういう中でオフラインを強化するのではなくて、オンラインはオンラインで、できることをやっていく。それが凄いことなんですよ。なかなか「オンラインでやり続けられることを今後も追求します」って言い切れる人は、少ないと思う。企業もきっと、早くZoomやめたいと思ってるんじゃないかな。

伊藤:そうなんですか。

福田:と、思いますよ。だから面白いんですよ。国は「出社を3割に抑えろ」って規制しますけれど、撤廃されたら「7割は来いよ」って、絶対に会社ってなるんですよ、日本の場合。アメリカでは、Googleが「もう会社に来なくていい制度をつくれ」って従業員がいったら、記事が見当違いな見出しをつけて「会社に来ない人は給料の減額を打ち出す」ってなった。でも、そうじゃなくて、「通勤手当がなくなる分が減額されますよ」っていう、単なる説明なんですよ。職種によっては出社もオンラインもどっちを選んでもいいよっていう、それを決めたことがすごいですよね。日本だったら、ただ単に「来いよ」で終わりになると思うので。だから、オンラインでしか両足院を知らない人って、逆に言うと増えている可能性がありますよね。そういう人が何かのきっかけで、京都に来てみたいなとなるかもしれない。

伊藤:オンラインやバーチャルのほうで知っているあの場所って、本当にあるんだ、となるような時代をちょっと想像しています。

福田:面白い。「あれメタバースかと思ったけど、本当にあるんだね」っていう。

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