中国で働く外国人は 「高所得人材」が中心
陳暁:ちょっと話が逸れるかもしれないですけど。以前、千葉県佐原の夏祭りに行ったんですね。町内会の人たちが神輿をかついで、奥様方が周りで見守っていたり、子供が遊んでいたりして、祭りは町の人みんなで作っているんだなって思って。で、奥様方が誰かの噂話をしていて、横に立ってたおじさんが、「それ、○○の所の旦那のナントカだろ?」って、すぐ2軒先の話をしていて。すごく独立したコミュニティーで回っているなと。
福田:まあ、そうですよね。
陳暁:だから同調圧力とか、右向け右や曖昧な言い回しという日本特有の生き方は昔の日本文化から来ているのかなと。何か話すとすぐにそれが広まっちゃう。中国ではあまりそういう空気を感じないんですよね。みんな他人に興味無い。マンションや団地の一つのエリアで2000人くらい住んでいて、そうなるともう誰のことを話しているかわかんないし。やっぱり中国って遊牧民族というか、出稼ぎで転々とするんですよ。2年住んだら次は北京に行く、次は上海に行くとか、住まいのエリアが固定していない。そういう意味でも、土地の広さや人口の多さがそれぞれ民族性に表れているんだろうなと。
福田:日本は191ヶ国行ける、パスポート最強の国なんですよね(2020年1月現在)。だけど、パスポート保有率が約25%とめちゃくちゃ低い。どの国でも行けるパスポートを持っているのにどこにも行かなくて、日本ってこの世界で完結していますよね。で、安倍内閣の入管法改正法案では、高齢化が進んできたから海外から何十万人も労働力として移民を入れる、という話になるわけですよね。政府は「移民ではない」と言ってますけども。でも僕は、これはいいことだと思ってるんです。ある種の移民政策で、仮に毎年50万人ずつ来て、それが100万人に近づいてくると新生児を越えますよね。そうすると、田舎からイノベーションがわき起こって来るんじゃないかと。今、深夜のコンビニって日本人の店員の人、全然いないですし。
陳暁:その点において、私ちょっと心配事があって。移民・旅行者問わずなんですけど。外国人が大量に押し寄せてきたときに、みんなが対応できるのかなと。特に意識の面で。日本に今来ている外国人の多くはブルーワーカーの方だと思うんですよ。ホワイトワーカーの外国人はまだ少数派というか。意外と自然に融合していくんでしょうか。
福田:そうですね。
陳暁:中国の場合、メーカーなど労働力は海外に分散させていて、例えば工場はベトナムに置くなどしてスタッフはその国で雇う。一方、中国国内で働く外国籍は本当に高所得人材なんですよ。HUAWEIの深セン本社でも、アフリカ人やインド人の優秀なエンジニアが、それぞれ数百人単位で雇用され就労ビザも技能でランク分けされ、優秀な人材が選別され始めている。優秀じゃないと中国で働けないし、中国人も優秀になっていかないと生き残れない実力社会の構造が高まっている。