ミレニアム世代は、ネットでアートを描く。~世界初のラズパイアートの成り立ちと作品解説~

ミレニアム世代は、
ネットでアートを描く。

~ 世界初のラズパイアートの
成り立ちと作品解説 ~

編集:井尾淳子
日程:2021年9月4日

彌永 ゆり子

1991年神奈川県生まれ。2018年京都市立芸術大学修士課程美術研究科油画専攻修了。幼少からPCで絵を描く。デジタルで描いた絵にしかない質感に注目し、表現している。現在は電子基板やモニターそのものの存在感にも意識を向け、他素材とコラージュのように組み合わせた表現を試みている。
2019年1月「not here but here(lf#5)」2019 / Kyoto Art for Tomorrow 2019 ―京都府新鋭選抜展― 読売新聞社賞受賞。
主な個展に、「where are you? where am i, 」(YEBISU ART LABO、愛知、2018)、「digital paintings」(ギャラリー揺、京都、2018)「IMG://shape/weightless/」(KUNST ARZT、京都、2021)、グループ展に、嵯峨美術大学油画研究室展「思考する視線 2018」(MEISEI、京都)「Kyoto Art for Tomorrow 2019 ―京都府新鋭選抜展―」(京都文化博物館 、京都、2019)「むこう大宮オープンスタジオ」(STUDIO渋オーミヤ、京都、2019)など。

福田 淳

スピーディ・グループ C E O
金沢工科大学院 客員教授 / 横浜美術大学 客員教授
ソニー・デジタルエンタテインメント社 創業社長
1965年 日本生まれ / 日本大学芸術学部卒
コンサル業務以外にも、女優”のん”などタレントエージェント、ロサンゼルスを拠点としたアートギャラリー運営、不動産事業をはじめ、中国の新経済特区マカオをベースとした日中エンタメ開発、エストニア発のブロックチェーンを活用したNFTビジネス、企業向け“AIサロン‘を主宰、沖縄でのリゾート開発・ハイテク農業、日本最大のeコミック制作、出版業など活動は多岐にわたる。
カルティエ「チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー」、ワーナー・ブラザース「BEST MARKETER OF THE YEAR」など受賞。著書、講演多数。
公式サイト: http://AtsushiFukuda.com

原点は、おさがりのタブレット付きパソコン

福田:彌永さんは、デジタルで作品を描くアーティストですが、そもそも「コンピューターで絵を描く」というスタイルは、いつから始まったのでしょう。

彌永:親が仕事で使っていたパソコンのおさがりが家にあったので、幼少期からそれを使って、パソコンでお絵描きをしていました。ペンタブレットを使って遊んでいたんです。美大受験の時はアクリル画や水彩もやりましたが、基本的には授業中ノートに落書きをする他は、ほとんどパソコンで絵を描いている状態でした。

福田:つまり、生まれてからずっとパソコンの環境が身近にあったわけですね。僕は22歳で社会に出て働いている期間の半分以上、インターネットがない時代にいました。でも、彌永さんの時代には家にタブレットもあるような時代だったんですね。ワコムペンタブレットとかですか。

彌永:そうです。昔の、でっかいやつです。2000年当時のものでしょうか。おそらく父親が興味本位で買ったけど、あまり使いこなせなくて、それが私に回ってきたという感じです。

福田:大学は、京都市立芸術大学でしたよね。入学されたのは何年ですか?

彌永:2012年です。

福田:なるほど。受験前はリアルな絵はあまり描かず、パソコン中心で描いていたということですか。

彌永:パソコンでも、リアルな絵は描いていました。ミュージシャンなどの著名人の方の顔を模写するような感じで。

福田:受験には、通常のデッサンが必須だったんですよね?

 

彌永:はい。受験では通常のデッサンに加え、水彩のデッサンと、色彩構成と、立体物を時間内に作る科目がありました。一応、美大の予備校に通って受験勉強をしました。

福田:美大が第一志望だったんですね。

彌永:そうです。高校も銅駝美術工芸高校という、美術系の高校に通っていました。

福田:その高校では何を?

彌永:陶芸を専攻していました。銅駝には油絵もありましたが、静物などを構成して、そのままリアルに油絵を描くという教育だったので、自分はあまりしっくりこなくて、現代美術の展示を見たりしていました。でもやっぱり、自分はずっと絵を描いていたから、大学では絵を描きたいと思って油絵を専攻しました。

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