デジタルサイネージのように作品を見せる
彌永:Raspberry Piが映像出力に向いているとわかったので、試しに1個買って、冬休み中ずっといじってました。もともとプログラミングや電子工作には詳しくないんですけど、一応やってみようと思って。
福田:やってみたら、わりと簡単だった?
彌永:そうです。私が今やっているのは、基本的にはモニターに合わせた解像度にして、映像のデータをループ再生する、というだけのシンプルなプログラミングなので。
福田:何秒くらいのものをくり返しているのですか?
彌永:ものによりますね。20分くらいあるものもあれば、1~2分の作品もあります。
福田:そうすると、1~2分でも動かしていかないと駄目でしょう。中の絵は動いているんですか?
彌永:そうです。
福田:ということは……やっぱりメディアアートになってきますよね。じっとしていないから。
彌永:そうですね。
福田:演出みたいなものは考えていますか? 20分の作品となると、壮大なことになってくると思うのですけど。
彌永:基本的には「絵」という気持ちがあるので、ゆっくり見てもらえたらいいかなという気持ちもあります。初期の頃は、どんどん絵が変わっていくものもありました。20分くらいで3つくらい、絵がバーッと変わっていくみたいな。最近はわりとゆっくりのものですが。 で、とりあえず冬休みいっぱい触っているうち、Raspberry Piをなんとか動かせるようになったんですよね。インターネットで調べたら、使い方を載せている人がいたりして。
福田:Raspberry Piの本当の目的は、絵ではないんですよね。その使い方は、アートですか? Raspberry Piを使ったビジュアル表現で、という意味ですけど。
彌永:私が見たのは、デジタルサイネージのように使う方法でした。それで、「あ、これでいけるな」と思って。帯の消し方とか、時間表示の消し方とかも全部書いてあったので、こういうことだなと思って。
福田:もともとは、デジタルサイネージとか工業用に使うものなんでしょうね。オフラインのところで、パッケージで自立して何か表現できるという。だって、ケーブルで流れてきたらRaspberry Piはいらないし。
彌永:あと、一応Wi-Fiもつながるので、ちゃんと設定をしておけば同期して、電光掲示板などにも使われているかもしれないです。
福田:案内とか交通広告とか……デジタルサイネージだね。彌永さんは、それをアートに転用した。
彌永:そうですね。たぶん自分がやろうとしていることは、デジタルサイネージのようなやり方でできるなと思って。で、やってみたらなんとかできたので。
福田:面白い! それは大学在学中に発見して?
彌永:そうですね。3年生の冬休みだった記憶があります。それで4年生のときはずっと、モニターに額を付けるスタイルでした。院生のときも同じスタイルだったかな。院2の最後くらいに、今の作品の感じに近付いたと思います。