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「絵」が先か「フレーム」が先か

福田:大学院は2年ですか?

彌永:はい。大学を卒業したのが2016年です。

福田:これはもう最近の作品ですね。額が付いているから。

彌永:学部の卒業製作ですね。これは大きいモニターに頑張って貼りました。

福田:めちゃくちゃ精緻な、CGみたいな作品を描いていたんですね。結構、フレームですね。

~世界初のラズパイアートの成り立ちと作品解説~  Talked.jp

Title:portrait
映像(Raspberry Piによる再生)、額(べニアにアクリル絵具)
796×943×140 mm
制作年:2016.2

彌永:フレームなんですけど、このときからリアルに描くことをやめるんです。最初は、そのときあったペイントソフトを使っていたんですけど。だけどリアルに描くと結局、油絵で描いたほうがいいじゃないですか。……油絵の質感を模倣したいみたいになっているなと感じて。「油絵をコマ撮りしているんですか?」と言われたこともありました。若い人が見たらそうは思わないと思うんですけど、年齢層の上の人からは「これは油絵をコマ撮りして作ってる絵なの? 映像なの?」みたいに言われたりして、(なんかちょっと伝わってないな)って。これはリアルに描くのではなくて、ドットが目立つように、あえて古いペイントツールを使ったほうが面白いんじゃないかなと思って。

福田:徹底して、ものが持っている素材感を排除していったわけだよね。

彌永:逆に、「質感がない」っていうのがデジタルの質感かな、みたいな。

福田:面白い。彌永さんの感覚が、とても面白いですよね。

~世界初のラズパイアートの成り立ちと作品解説~  Talked.jp

Title: kurt
映像(Raspberry Piによる再生)、額(べニアに油彩)
950×750mm
制作年:2017.2

彌永:この辺から、額縁はあるけどコピーを使いました。

福田:コピーというのは?

彌永:ここに同じものがあるんですけど。デジタルでしかできない、同じものをコピーして。あえて荒く描いたり。そういうことをちょっとやってたんですけど。

福田:このあたりの作品は、最近の感じに近づいていますよね。

彌永:このときは、頑張って大きいモニターとかも買いました。

福田:何インチくらいですか? これは。

彌永:95cmと書いてあるので約1mですね。あと、DMMが当時出していた一番安い4Kのモニターが5万くらいだったので、それを頑張って買いました。

福田:それはたしかに、頑張らないと、ですね。

彌永:バイトして買いました。あとこの辺は額縁キャンバスにしたりとか。額縁と絵の関係でいうと、絵が主体だったので、絵を描き終わってから額縁の周りを作る、みたいな。絵に合った額を作るという気持ちが当時はあったので。

~世界初のラズパイアートの成り立ちと作品解説~  Talked.jp

Title:kurt(out of focus)
映像(Raspberry Piによる再生)、額(キャンバスに油彩)
820×980×80mm
制作年:2017.7

福田:やっぱりこういうのがわかりやすいですよね。コピーしながら、油絵のテイストも残しながらもデジタルで表現している……混在となっているのがエネルギーを感じますね。

彌永:これはこれで気に入っていたんですけど、ずっと「絵と額縁」という状態で……。額縁は、「これを絵として見てほしい」というメッセージがちょっと強すぎる気もして。悪くはないんですけど。

福田:とにかく、気持ちはパンクですよね。みんなが思うようなことは壊したいという。魅力はそこだろうと思いました。

彌永:ありがとうございます。

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